自動化で就業時間外も有効活用でき、全体の工期も短縮
100機種以上での検証作業を自動化し、
年間のテスト工数が約1/6に
株式会社NTTドコモ 様
- 所在地
- 東京都千代田区
- Webサイト
- https://www.nttdocomo.co.jp/
株式会社NTTドコモは、通信事業やdマーケットなどを通じて展開するスマートライフ事業に加え、システムの開発・販売・保守なども行っています。その中で、ソリューションサービス部は法人ビジネス本部内の技術部門として、先進ソリューションの開拓、サービス・ソリューションの品質向上、サービスを円滑に提供する技術支援などに携わり、「技術営業」としての役割を担っています。
CASE 1 導入の経緯提供するサービスの品質担保のために、多種多様な端末でのテストの効率化を
私どもNWサービス開発では、法人のお客様を対象に、回線の開通や設定変更などを管理するシステムを開発・運用するほか、法人向けにさまざまなサービスを提供しています。今回、約13,000社にご利用いただいている「あんしんマネージャー」というMDM(モバイルデバイス管理)サービスの検証業務のために「SKYATT(Sky Automation Testing Tool)」を導入しました。
近年、アジアを中心としたファブレス企業の参入によって、スマートデバイスの機種は増加を続けています。また、多くのIoT機器が登場し、ネットワークにつながる機器が多様化していることも重なり、各サービスにおけるテスト工数は年々増加しています。現在、ルーチンワークのシステム化やフレックスタイム制の導入など、効率化や働き方改革を推進するなかで、多くの工数を費やしている検証業務の効率化が喫緊の課題となっていました。
そんな折、ある大型展示会に出展されていたのがSKYATTでした。UIがとても使いやすそうだと感じただけではなく、国内メーカーならではの柔軟な対応も好印象でした。導入に向けた私どもの要望を丁寧にヒアリングし、可能な限り前向きに対応してもらえたことで、安心して導入に踏み切ることができました。
CASE 2 導入の効果日本語でテストシナリオが作成でき、専門知識が必要ないのは大きなメリット
「あんしんマネージャー」は、サーバー側のOSをアップデートするたびに、100機種以上の端末でデグレードが発生していないかを検証しなければなりません。テスト自動化ツールというと、実操作を記録して再生する「キャプチャ&リプレイ」タイプが主流ですが、この方法では、テスト自動化に必要なテストシナリオを作成するために、一度はすべての機種ですべての操作を行う必要があります。
SKYATTでは、ボタンやテキストボックスなどの各要素を「アイテム」として定義し、あらかじめ用意された「アクション」の中から実行する操作を選択するだけで手順が作れ、それを繰り返すことで、テストシナリオを作成できます【図1】。また作成したテストシナリオは、別の端末のシナリオにもコピー&ペーストでき大半が使い回せますので、シナリオ作成にかかる工数が大幅に削減できます。
また、テスト項目が決まっていれば、SKYATT上でテストシナリオを作成してくれる「シナリオ作成サービス」(有償)も用意されています。複雑なテストの場合はシナリオ作成を依頼して、比較的簡易なテストの場合は自分たちでシナリオ作成するといったように使い分け、全体の費用を抑えることもできます。
テストシナリオは日本語で作るので、プログラミングや自動化ツールの知識がなくても理解でき、テスト項目の編集も容易です。専門知識を有する特定のメンバーに依存することなく使えるということは、今後、人員の異動や増員などでメンバーが替わることがあっても、活用し続けられるというメリットがあります。
工数が圧縮できただけではなく、さまざまな場面で効率化の効果を感じています。
CASE 3 導入の効果 年間のテスト工数を約1,500時間削減、時間の有効活用で、働き方改革にも貢献
テスト工数は目に見えて削減できました。毎年のように検証対象となる機種は増えていて、これまでは手作業で年間約1,800時間を要していたテスト作業が、SKYATTの活用で年間テスト工数が約300時間となり、以前の1/6に圧縮できました。また、就業時間外に実行したテストの結果の確認を、日中に行うというサイクルで作業を進めることで、時間を有効活用できるようになりました。
リリース前の繁忙期には、ほかのチームから人手を借りてテストを行うこともあるのですが、SKYATTを使うことでテスターごとの判定の違いやテスト結果の記入ミスなどのヒューマンエラーが解消され、テストの精度が向上したことも導入効果の一つです。
テストの結果も日本語で記録され、Excel形式のファイルとしてエクスポートできるので、分析作業を使い慣れたソフトウェアで行えます。また、端末側で改善が必要と判断したときは、端末を担当する部門に報告を行うのですが、SKYATTから出力したレポートなら、そのまま渡すだけでも十分に内容を伝えられるので、手間をかけずに対応できます【図2】。このように一つひとつの作業で効率化が進んだ分、テストの実行回数を増やしたり、担当者が進捗管理などに時間を割けるようになりました。その結果、工数が削減されただけではなく、着手から完了までの全体工期の短縮にもつながりました。
CASE 4 今後の展望 5G時代に向けて効率化と精度向上が必須、SKYATTの社内活用を広げて対応を
現在は、「あんしんマネージャー」の検証に中心的に携わっている4名でSKYATTを活用しています。その成果から、部内のほかのチームからも関心が寄せられるようになりました。そこで、Sky株式会社の協力を得て、勉強会を実施。今後は、SKYATTの活用を十数名に拡大していきたいと思っています。SKYATTは、UIが非常にわかりやすく作られていて、習熟にかかる時間が非常に短くて済みます。テスト設計ができる知識を持っていれば、PCスキルについてはMicrosoft Officeが使えれば、十分にSKYATTを使いこなせるようになるだろうと感じています。
当社では、2020年に5Gの商用サービス開始を目指しています。5Gの普及により自動運転や遠隔制御をはじめ、今は想像が及ばないような新技術も登場するのではないかと予想されています。そしてIoTの普及が進み、あらゆるモノがネットワークでつながる時代になれば、求められるサービスやシステムの構造も複雑になります。
時代の変化のなかで、検証にかかる業務量は急速に増加していきます。限られたリソースを有効活用して高い品質を担保するためには、テストの自動化による効率化・精度向上が欠かせません。SKYATTについても、今後さらに機能改善が図られて、より多くの場面で活用できるようになっていくことを期待しています。
2018年3月取材