CASE 1 導入の経緯そのまま報告書として使える、
充実したテスト結果が出力される点を評価
当行は個人・法人のお客様に向けて、さまざまな金融商品やサービスをご案内するWebサイトをクラウド上で構築・運用しています。ページ数は全部で2,000ほどありますが、Webサイトの改修やクラウド側での基盤更改などが頻繁にあり、そのたびに全ページをテストすることは困難なため、毎回影響箇所を調査してテストを行っていました。しかし、Webサイトの中には動的に生成されるページもあるため、意図しないところで何かしらの不具合が起きてしまうのではという懸念もありました。テストにかけられる工数には限りがありますが、もう一歩踏み込んで品質を良くしたい。その思いから、網羅的にテストを実施できるテスト自動化ツールを検討することになりました。
「SKYATT」導入の決め手は、そのまま報告書として使用できるレベルのテスト結果が出力される点です。例えば、テスト結果が単に羅列されたテキストファイルで出力されても、そのままでは読みづらく、編集しなければ報告書として使用することは難しいです。「SKYATT」では、テストした操作やOK / NGの結果などが一つひとつ整理されて出力されるほか、エビデンスとしてテスト中の画面のスクリーンショットも自動で取得されます。現在、当行では社内システムの内製化を進めており、他社へ開発を依頼しても結合テスト以降は自分たちで対応しています。テストごとに報告書も作成しますが、まとまったテスト結果をツールが出力してくれることは非常に魅力的でした。ほかのテスト自動化ツールやRPAツールなどとも比較しましたが、「SKYATT」のように細やかにテスト結果が出力されるものはなかったと思います。図1
そのほか、海外製品の多いテスト自動化ツールですが、「SKYATT」は国内企業のSky株式会社が開発・サポートを行っています。UIやテスト結果などがすべて日本語表記でわかりやすく、運用についても日本人スタッフの方からサポートいただけるのは、使いこなす上で欠かせない要素でした。
図1テスト結果が一つひとつ細かく整理されて表示
工数削減やテスト標準化の高い効果を実感、
できる限り多くのシステムで活用することに
CASE 2 導入の効果一度のテストで1人月分の工数削減、
高い網羅性による品質向上にも寄与
およそ2,000ページあるWebサイトのテストは、改修やセキュリティアップデートなどに応じて月に一度は実施しています。「SKYATT」導入以前は、手作業でのテストで早くても1ページ10秒はかかっていました。加えて、テスト仕様書や報告書の作成にそれぞれ5営業日ほど費やしていました。導入後は、手作業でのテストが自動化されたほか、テスト仕様書や報告書として使えるファイルも「SKYATT」から出力されるようになり、これらを概算した結果、一度のテストでおよそ1人月分の工数を削減できるようになりました。また、テストの網羅性が高まったことで、Webサイトの品質向上にも寄与。すべてのページをテストしているので、毎回安心してリリースできています。
CASE 3 導入の効果 ベースとなるテストシナリオが整備され、
テスト標準化にも貢献
「SKYATT」によってテストの標準化が進んだことも大きな効果です。導入前は標準のテストケースのようなものは存在せず、Webサイトの改修などのたびに影響箇所を調べてテストケースを検討していたため、テストの品質にばらつきが生じかねませんでした。「SKYATT」の運用では、初めにベースとなるテストシナリオを整備しますが、これが標準のテストケースとしての役割を持ち、おのずとテストの品質も安定。テスト標準化につながりました。図2
当行は現在、約200のシステムを運用していますが、それぞれに標準のテストケースを用意すべきだと考えています。これがあることでテストの品質が安定するのはもちろん、新人に向けたテスト関連の学習教材としても役立つと感じています。この考えの下、Webサイトのテストで標準のテストケースができたことを受け、ほかのシステムでも「SKYATT」を活用することになりました。
そのほかテストシナリオの整備においては、Sky株式会社のエンジニアから手厚く支援してもらったことが印象的でした。テストを自動化できる部分・できない部分の切り分けや、標準のテストケースとして使用していくための細部に至る考慮、評価 / 検証に関する幅広いノウハウの提供など、細やかにサポートいただけました。
図2テスト標準化における「SKYATT」導入前後の違い
CASE 4 今後の展望 品質の担保が最重要課題である
2つのシステムから優先して活用
当行では現在、約200あるシステムのクラウド移行を順次進めています。前述のとおり、クラウドでは基盤更改が頻繁に発生するため、システムの無影響確認を都度行う必要があります。それらを効率化するためにも、今後は「SKYATT」の活用を筆頭に、ほかのシステムにもテスト自動化を広げていきたいと考えています。その最初のステップとして、現在インターネットバンキングと勘定系システムに「SKYATT」を活用。この2つはお客様が利用される、私たちにとって表玄関のようなシステムのため、品質を担保することが最重要課題であると捉え、優先して活用することになりました。
そのほか、当行からSky株式会社への要望として、今後もテストに関する知見をぜひ共有してもらえればと思っています。テストシナリオを作成するときも共に考えてもらい、的確なアドバイスをいただけましたし、「SKYATT」の運用に向けてしっかりレクチャーいただきました。今後「SKYATT」の活用を広げていくためにも、さらに協力いただけることを期待しています。
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